深海の生態系を支えるのは?
深海と言うのは資源の生産がほとんど行われないのに、普通に生物が存在出来ている不思議な環境です。その環境を支えるのは一体何なのでしょうか。
深海の物質生産
深海での物質生産というのは、浅海での物質生産にかなり依存しています。それというのも深海の生態系の根底をささえる被捕食者の栄養源が、浅海から降り注ぐ、マリンスノーや巨大生物の遺骸だからです。
こういったものを食べる生物を、今度は深海の巨大生物が捕食し、生態系が成立しています。
浅海生物の「直接的利用」と「間接的利用」
また深海の生物には(とくに中層)夜間になると浅海に移動し餌を探す者もいますが、ぁれらにとっても浅海の資源というのは必要不可欠な存在です。こういった直接浅海に採餌に出向くやり方は「直接的利用」になります。
栄養豊富な陸地に近い海域ほど、浅海に生物は多くなり、深海生物の分布も必然的に浅海の生物の分布に重なる形になります。
また浅海の生物の残骸がデトリタスとなって沈着し、深海生物に利用されることを「間接的利用」になります。
またクジラのような最大の海洋性ほ乳類の遺骸というのは深海生物にとって貴重な栄養源となります。
沈降したクジラの遺骸を中心に形成される生物群集のことを「鯨骨生物群集」といった呼び方をします。
浅海と深海の結びつき
深海の過酷な環境では生産者がほとんど存在せず、消費者と分解者のみで構成されるちょっと変わった環境です。人間社会に例えると家畜を育てる人や、農家をやる人がいないということですね。
だから必然的に浅海での生産に依存せざるを得ないのです。