深海生物研究の歴史
深海生物の研究のために人類がたどってきた歴史を簡単に紹介しています。
1800年代 昔は深海無生物説があった
そもそも深海生物というのはその存在そのものが疑わしく思われていました。あまりにも過酷な環境なので調査自体が難しく、観察や研究ができなかったからです。
そのうちイギリスの研究者の中には深海に生物は存在しないとする「深海無生物説」を提唱する人も現れました。
最もこの説というのは海底ケーブルを用いた調査で深海に生物が存在することは証明されたのですぐに否定されることになりました。
そしてその後のイギリスのチャレンジャー号の世界一周探検航海により深海魚の存在が決定的になり、各国が深海研究に乗り出しました。
1900年代初期 深海探査技術の開発
その過酷な環境から人間が潜水により、深海を調査することが不可能です。その為深海探査艇の開発が1900年以降すすみました。
1928年にバチスウィアという潜水球が開発され海上からつり降ろされながらの形での深海探査は可能になりました。この潜水球は動力こそないものの深度923mまでの潜水が可能だったそうです。
1900年代中期 深海探査船「バチスカーフ」の開発
1948年には宇宙と深海の研究に携わった物理学者オーギュスト・ピカールによって潜水装置「バチスカーフ」が開発されました。
バチスカーフの貢献により深海生物の生態観察がかなりのレベルまでできるようになりました。
1900年代後期 深海魚の捕獲技術の獲得
身体魚の生態を観察できるようになった次の段階としては、深海魚のもつ低水温や高水圧への適応力を解析することでした。
ですが深海魚の生け捕りというのは極めて困難です。引き上げることにより急激な減圧と水温の上昇がおこるので、多くの場合それが致命的になります。
1970年に冷却装置、1978年に高圧維持水槽が開発されましたがやはり長期の飼育観察などが困難な状態は続いていました。
2000年代 ディープアクアリウムの開発
日本の海洋研究機構により深海魚の捕獲・高圧化での飼育が可能な装置「ディープアクアリウム」が開発されました。
深海にて深海魚を捕獲したのち、そこの水圧を保ったまま地上に運び、飼育を行うことができるのです。水の交換や餌をあげるときも減圧を起こさないででき、今後の深海魚研究のキーとして期待されています。